ドクターが教える 腟の正しいケア

洗いすぎは
トラブルのもと!

腟やデリケートエリアはいつも清潔にしておきたいものですが、洗いすぎるとかえって逆効果になってしまうことがあります。
特に腟の奥まで強く洗うと、デーデルライン桿菌などの善玉菌まで洗い流すことになってしまい、腟内の自浄作用を弱めてしまう恐れがあります。
また、腟内を傷つけて雑菌を増殖させ、腟炎などを引き起こしてしまう可能性もあります。

おりものが多い場合は
どのぐらい洗えばいいですか?

おりものが多いと訴える患者さんの中で、間違ったケアをしている方がいます。
確かにおりものが多過ぎるのは、あまり気持ちのよいものではありません。
しかしおりものには、腟内の雑菌を外に出すという働きもありますので、あまり神経質になりすぎないようにしましょう。過剰に洗うことはおすすめしません。

腟専用のソープも

市販の石けんやボディーソープには、アルカリ性で刺激の強い成分が含まれていることもあります。そのため、このようなもので腟内まで洗ってしまうと、腟内の酸性環境を崩してしまうことにもなります。

市販の石けんやボディーソープは、直接皮膚につけるのではなく、よく泡立ててから使用するといいでしょう。また、洗ったあとは、低刺激のローションや専用の保湿剤などで潤いをカバーすることも大切です。

腟やデリケートエリアを洗うときは、オーガニックのウォッシュオイルや弱酸性の専用ソープなどもあります。ドラッグストアや通販などで購入することができますので、自分に合ったものを探してみると良いでしょう。

トイレの温水洗浄便座で洗う場合

トイレの温水洗浄便座で腟の中まで洗いすぎるのも、腟内の自浄作用を損なう可能性があるので、あまりおすすめしません。
温水洗浄便座はデリケートエリアをさっと洗い流すだけにするのがよいでしょう。

おりものシートは
過信しない

下着を汚したくないので、おりものシートをつけたまま過ごしている方もいるかもしれません。

しかし、おりものシートを過信することは禁物です。
おりものシートを使い続けると、外陰部やデリケートエリアがムレて、雑菌が繁殖し、かゆみやかぶれの原因になることがあります。

長時間、替えずにいると、シートが腟をマスキングする状態になってしまい、トラブルがおこりやすくなります。
特に体調の悪いときなどは、腟炎を引き起こすおそれもありますので、注意が必要です。

こまめな交換が大事

おりものシートを使うときは、短時間でこまめに新しいものに取り替え、常に清潔に保つよう心がけましょう。

デリケートエリアは特にムレやすいので、通気性が重要となります。
下着を選ぶときもコットンなど、なるべく通気性の良い素材を選ぶのが理想です。

ナプキンは素材重視。
一番気をつけたいのは通気性!

ナプキンを選ぶときは、素材を重視しましょう。
特にナプキンは、肌に触れる面積が広いので、密着感があり、通気性が悪くなります。
ナプキンに使われている化学繊維(塩化ビニル)によっては、デリケートエリアがかぶれたり、赤くなってかゆみの原因になることもあります。できるだけ肌にやさしいコットンタイプなど、自分に合ったものを選ぶようにしてください。

ムレを防ぐためには、通気性を確保することが、もっとも重要です。

最近のナプキンは性能がよく、経血をすばやくキャッチし、外に漏らさずギュッと中にため込んでくれますが、裏を返せば、それだけ通気性が悪いことを意味します。
このムレを解消するためには、こまめに取り替え、清潔に保つことが一番の対策となります。
月経のときは、温水洗浄便座ではやさしくデリケートエリアを流す程度にしましょう。

タンポンを使用する場合

経血が多いときや、ナプキンのムレやずれが気になる方は、タンポンを使用するのも一案。セックスの経験がないと使えないと思っていたら、それは間違いです。
また、経血が外に流れなくてお腹に入ってしまうのではないかという不安をもつ方もいらっしゃるようですが、医学的にはまったく心配いりません。ただし、タンポンを長時間入れっぱなしにしておくことは、衛生上よくないだけでなく、非常にまれではありますが、「トキシックショック(TSS)」という病態を引き起こすことがあります。
できれば数時間程度で交換し、就寝時の使用は避けましょう。

監修
ジュノ・ヴェスタクリニック八田院長 八田 真理子先生

産婦人科医。1990年聖マリアンナ医科大学卒業。
順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院産婦人科勤務を経て、1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック 「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。
女性の幸せを願い、サポートするクリニックとして、思春期から更年期までの幅広い女性の診療を行っている。 日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医。
日本マタニティフィットネス協会認定インストラクター。
著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など

いつもと違うおりもの・強いかゆみは
病気が原因の可能性も。
医師監修の症状チェックで確認してみましょう。

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